フェイズ:MasterScene
シーンプレイヤー:なし
場所・刻:奈々市某所 12/8-22:00

――欠けた月の下、蠢く複数の影。
暗躍していた有象無象の魔法少女たちが一箇所に集まっていた。
主の所在が露見したため、支援へ向かうためだ。
だが――彼女たちは、主のもとにたどり着くことは……なかった。


「クククク……アーッハッハッハッハ!」
夜を引き裂く、高らかな笑いと《ワーディング》。
彼女らは足を止め、目の前の邪魔者をにらみつける。
「何のつもりだ……“ディアボロス”」
「判らないか。貴様たちの邪魔だよ、魔法少女ども! 二人はな、私が育てたのだ! 私がっ、手塩をっ、かけてなッ!
 貴様たち、ひいてはあのクソ忌々しい男に利用されていいものじゃあないんだよ!」
体の一部を異形化させながら、彼は続ける
「私を常に打破るUGNだ。貴様らの主など敵ではない。だが――万が一ということもある……故に、貴様たちはここで脱落してもらおう」
「お、お前一人で何ができる! この数を相手にすればひとたまりも――」
無数の魔法少女達が構える。だが、そのうちの一人が突然血を噴出して崩れ落ちた。
「――面白そうね。私も“仲間”に入れて頂戴」
魔法少女を挟み込む形で現れたのは、黒衣の鮮血。
恭二は、彼女らの到来を予め判っていた。当然だ。彼女の仕事先のFHセルを利用して、この現状を伝えたのだから。
彼女もまた其れに応え、恭二の提供した情報を元に常軌を逸脱した速度でFHを壊滅させてここに駆けつけている。
「フン……いいか、勘違いするなよ。私はUGNの味方をするんじゃあない。私の、計画を利用されることを阻止するのだ!」
「煩いわね。貴方が馬鹿に計画掻っ攫われなければ、時間をかけてゆっくりひとつを二人に分けられたのよ。判ってるの?」
「私が秘密裏に“賢者の石”の解除法を教えたのに、自力で解決させるとか言っているからこうなるのだ、愚か者が」
仲違いを起こしていそうな二人組み。だが、その動きは“狩り”を行うハンターのものであり――見出せる隙など、一分もない
「……くっ」
途端に険しい表情を浮かべる魔法少女達。そして、ふたりはあたかも死の宣告であるかの如く、不敵に笑って告げた
「ま、いいわ。可愛くもない義妹の為なら仕方ない。――程ほどに壊してあげる」
「さあ、かかってこい魔法少女ども。この私との年季の違いを見せてやろう――」

ここに、別の戦いが幕を開けた。